「引き継ぎ書って何を書けばいいの?」「後任者が困らないようにするには?」「時間がない中でどこまで作ればいい?」

円満退職を目指す上で、引き継ぎ書の作成は重要なステップの一つです。この記事では、実際に使える引き継ぎ書の書き方とテンプレートを紹介します。


引き継ぎ書に法的義務はない(まず前提として)

引き継ぎ書の作成・引き継ぎ自体に法的な義務はありません。退職は労働者の正当な権利であり、引き継ぎを理由に退職を拒否することはできません。

→ 詳しくは薬剤師が引き継ぎなしで辞められる?を参照してください。

その上で、円満退職・後任者への配慮として引き継ぎ書を作成したいという方向けに、具体的な書き方を紹介します。


引き継ぎ書に書くべき基本項目

①担当業務の概要

  • 担当していた業務内容の一覧
  • 業務の優先順位・重要度

②日常業務の具体的な手順

  • 調剤業務での注意点(特殊な処方・在庫管理のルール等)
  • レセプト業務の締め切り・確認ポイント
  • 発注・在庫管理の担当範囲とタイミング

③関係者リスト

  • 連携している医師・医療機関の連絡先
  • 卸業者・関連施設の担当者情報
  • 院内・薬局内の役割分担

④進行中の案件・懸念事項

  • 対応途中の患者対応・案件
  • 今後注意が必要な事項(特殊な服薬指導が必要な患者等、個人情報に配慮した記載)

⑤よくあるトラブルとその対処法

  • 過去に起きたトラブルとその解決方法
  • 特に注意すべきミスのポイント

引き継ぎ書テンプレート例

【引き継ぎ書】

作成日:〇年〇月〇日
作成者:〇〇(氏名)
引き継ぎ先:〇〇(後任者名または未定の場合はその旨)

■ 担当業務概要
・調剤業務全般(門前:〇〇クリニック)
・在庫管理(発注担当:週2回)
・レセプト業務(月末締め)

■ 日常業務の手順
1. 開局準備:〇〇の手順で実施
2. 調剤時の注意点:〇〇の処方が多い、〇〇に注意
3. 在庫発注:毎週〇曜日に〇〇卸へ発注

■ 関係者リスト
・〇〇クリニック 〇〇先生:疑義照会は〇〇の時間帯が繋がりやすい
・〇〇卸 担当〇〇様:TEL〇〇〇-〇〇〇〇-〇〇〇〇

■ 進行中の案件
・〇〇について、〇月〇日までに対応予定
・在庫の〇〇が発注中(納品予定〇月〇日)

■ 注意事項・よくあるトラブル
・〇〇の在庫が不足しやすいため早めの発注を推奨
・〇〇先生への疑義照会は〇〇の形式が望ましい

■ その他伝達事項
(自由記述)

このテンプレートを自分の業務内容に合わせてカスタマイズしてください。


引き継ぎ書作成のポイント

後任者が「初めて見てもわかる」ことを意識する

自分にとって当たり前の知識も、後任者にとっては初見の情報です。専門用語や社内独自のルールには簡単な説明を添えるとわかりやすくなります。

完璧を目指さなくていい

限られた時間の中で、すべてを網羅する必要はありません。優先度の高い項目から書くことを意識しましょう。

口頭での引き継ぎと併用する

書面だけでなく、可能であれば直接説明する時間を設けることで、より確実に伝わります。ただし、時間の確保が難しい場合は書面だけでも問題ありません。


引き継ぎ資料を渡すタイミング

  • 後任者が決まっている場合:直接引き継ぎの機会を設けて説明しながら渡す
  • 後任者が未定の場合:上司・人事に預けておく形で対応する

引き継ぎに時間を割けない場合

体調不良・退職代行を利用する場合など、十分な引き継ぎ時間が取れないケースもあります。その場合は、簡易的なメモ程度でも問題ありません

  • 現在対応中の案件のみ簡潔にまとめる
  • 関係者の連絡先リストだけでも残す

完璧な引き継ぎ書を作れなくても、退職の権利自体には影響しません。

→ 詳しくは薬剤師が退職代行を使うと転職に不利になる?を参照してください。


円満退職を目指す方へ

引き継ぎ書の作成は、円満退職を目指す上での取り組みの一つです。退職の伝え方・タイミングと合わせて準備しておくと、よりスムーズに進められます。

→ 詳しくは薬剤師の円満退職の進め方を参照してください。

転職先での新しいスタートに向けて、現職での締めくくりを丁寧に行うことは、自分自身の気持ちの整理にもつながります。

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よくある質問

Q. 引き継ぎ書はパソコンで作成すべきですか?手書きでもいいですか? A. どちらでも問題ありません。パソコンで作成した方が、後から編集・共有しやすいためおすすめです。

Q. 引き継ぎ書に患者さんの氏名を詳しく書いてもいいですか? A. 業務上必要な範囲であれば問題ありませんが、個人情報の取り扱いには十分注意しましょう。会社の規定に従って作成してください。

Q. 引き継ぎ書を作成する時間がどうしても取れません A. 優先度の高い項目(進行中の案件・関係者リスト)だけでも残せば十分です。すべてを完璧に仕上げる必要はありません。

Q. 後任者からの質問に退職後も対応する必要がありますか? A. 法的な義務はありません。円満な関係であれば、簡単な質問に答える程度の対応をする方もいますが、強制ではありません。


まとめ

  • 引き継ぎ書の作成に法的義務はないが、円満退職の一助になる
  • 書くべき項目は担当業務・手順・関係者リスト・進行中の案件・注意点
  • 後任者が初めて見てもわかるように意識して作成する
  • 完璧を目指さず、優先度の高い項目から書けば十分
  • 時間が取れない場合は簡易的なメモでも問題ない

引き継ぎ書は、次のキャリアへ気持ちよく進むための一つの区切りです。無理のない範囲で、できることをやってから新しい一歩を踏み出してください。

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この記事は2026年7月時点の情報をもとに作成しています。