「有給を申請したら嫌な顔をされた」「一人薬剤師で代わりがいないから有給なんて取れない」「退職するのに有給消化させてもらえない」

薬剤師の職場は人手不足を理由に有給取得を妨げるケースが多く、年次有給休暇を1日も取れないまま年度が変わる薬剤師も珍しくありません。

この記事では、有給が取れない職場の特徴・合法的な取得交渉の方法・改善しない場合の転職判断・退職時の有給消化トラブルへの対処を解説します。


薬剤師の有給取得率の実態

厚生労働省の調査では、医療・福祉業界の有給取得率は全産業平均を下回る水準が続いています。薬剤師の職場では特に以下の形態で有給が取りにくい傾向があります。

職場形態 有給が取りにくい主な理由
一人薬剤師 代替要員がおらず休むと薬局が閉まる
小規模調剤薬局 薬剤師2〜3名で回しており1人休むと業務が回らない
病院薬剤師 人員が固定されており有給取得が暗黙の申請制
ドラッグストア シフト制で繁忙期の有給が認められにくい

有給が取れない職場でよくある「断られ方」

有給申請をしても取れない場合、多くは以下のパターンで拒否・牽制されます。

① 「その日は忙しいから」と言われ続ける

特定の日を断られ続けることで、有給を申請する気持ち自体が薄れていきます。これを事実上の取得妨害と言います。

② 「みんな我慢しているから」という同調圧力

職場全体の文化として有給を取らないことが常態化しており、申請自体を空気で封じる構造。

③ 「承認します」と言って取り消される

業務都合を理由に承認後に取り消すケースも。時季変更権(別の時期に取るよう指定する権利)は会社にありますが、代替日を提示しない単なる取り消しは違法です。

④ 退職時に「消化させない」と言われる

「引き継ぎが終わるまで来てほしい」「残日数分の買い上げにする」と言われるケースがありますが、有給消化は労働者の権利であり買い上げを求める義務はありません。


有給取得の法律上の権利

有給休暇について、押さえておくべき法律の基本を整理します。

年5日の有給取得は会社の義務

2019年施行の働き方改革関連法により、年間10日以上の有給休暇が付与される労働者に対して、会社は年5日の有給を取得させる義務があります。これを守らない会社は30万円以下の罰則の対象です。

有給申請に理由は必要ない

有給申請に理由を書く欄があっても、「私用」「個人的な用事」と書けば十分です。会社は理由を確認する権利を持ちません(時季変更権の行使には正当な事業上の理由が必要)。

退職時の有給消化を拒否できない

退職前の有給消化は労働者の権利です。退職日までに残日数の有給を取得することを会社は基本的に拒否できません(業務引き継ぎが必要な場合は時季変更権が検討されますが、退職日が確定した後は時季変更権を使えないとする考え方が一般的)。


有給取得のための交渉方法

ステップ①:書面(メール)で申請する

口頭ではなくメールや申請書で証拠が残る形で申請してください。拒否されたことも記録に残ります。

ステップ②:「年5日取得義務」を根拠に主張する

「2019年の働き方改革で年5日の有給取得が義務化されています。取得できない場合、会社が罰則対象になる可能性があります」という事実を伝えることで、職場が方針を変えるケースがあります。

ステップ③:労働基準監督署に相談する

有給を申請しても取れない場合、労働基準監督署に相談・申告することができます。監督署が会社に指導を行う場合があります。


交渉しても改善しない場合は転職を検討する

有給取得率は職場の体質と直結しています。個人の交渉では改善しない職場はたくさんあります。

有給取得率は転職エージェント経由で事前確認できる点が、転職活動の大きなメリットです。

エージェント 有給確認で使える強み
レバウェル薬剤師 職場の内部情報が豊富。「有給取得実績」「代替体制の有無」まで事前確認しやすい
マイナビ薬剤師 担当者に「有給が取りやすい職場希望」と伝えると条件で絞り込んでもらえる
ファルマスタッフ 調剤薬局求人No.1。派遣・パートの場合は有給取得しやすい職場が多い

転職時に「前の職場で有給がまったく取れなかった」と正直に伝えることで、有給の取りやすさを優先した求人を紹介してもらえます。

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退職時に有給消化を拒否された場合の対処法

退職を決めて有給消化を申請したにもかかわらず、会社が拒否・買い上げを迫る場合は以下の対処が有効です。

対処①:内容証明で有給取得を通知する

退職日と有給消化期間を明記した内容証明郵便を会社に送ることで、法的な証拠を残しながら有給取得を主張できます。

対処②:弁護士・労働組合系の退職代行を使う

退職代行サービス(弁護士法人・労働組合系)は、有給消化の交渉を代わりに行う権限を持っています。「退職代行を使う=有給交渉を任せる」ことができるため、言い出しにくい状況でも権利を行使できます。

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詳しくは薬剤師向け退職代行おすすめ7選をご覧ください。


よくある質問

Q. 有給申請に理由を書かないといけませんか? A. 法律上、有給申請に理由は不要です。申請書に理由欄がある場合も「私用」「個人的な用事」と記載すれば十分です。会社が理由の開示を強制することは法的に認められていません。

Q. 「有給は繁忙期以外に取って」と言われます。繁忙期は何ヶ月も続きます A. 会社に時季変更権(別の時期に変更する権利)はありますが、代替日を示さない変更権の行使や恒常的な繁忙期を理由にした拒否は認められません。「繁忙期以外」がない状況なら、実質的な取得妨害として労基署に相談することを検討してください。

Q. 退職前に有給を全部消化したいが何日前に伝えればいい? A. 民法上は2週間前の退職通知が原則です。有給残日数が多い場合は、残日数分を逆算した日に退職通知をすることで、出勤なしで退職日を迎えられます。たとえば有給が20日残っている場合は、退職希望日の約1ヶ月前(20日+2週間)に退職通知を出すのが目安です。

Q. 一人薬剤師で有給を取ると薬局が閉まると言われます A. 後任の確保や代替要員の手配は、会社・経営者の責任です。「あなたが休むと薬局が閉まる」という構造を個人の責任にするのは不当です。代替体制を整えない会社に問題があります。転職または退職代行の活用を検討してください。

Q. 有給消化中に新しい職場で働いてもいいですか? A. 在職中(有給消化中を含む)の副業・兼業は、就業規則で禁止されている場合があります。元の職場の就業規則を確認してください。

Q. 有給消化を拒否されて退職しました。後から請求できますか? A. 有給消化を不当に拒否された場合、退職後2年以内であれば未払いの有給分を請求できます(時効2年)。証拠(申請記録・拒否の事実)が重要です。弁護士または労働局に相談してください。


まとめ

  • 有給取得は法律上の権利であり、年5日取得は会社の義務
  • 有給が取れない職場の「当たり前」は当たり前ではない
  • 書面申請→法律根拠の主張→労基署の順で段階的に交渉する
  • 交渉で改善しない場合は転職エージェントに有給取得率の高い職場を探してもらう
  • 退職時の有給消化拒否には弁護士法人・労働組合系の退職代行が最も有効
  • 有給残日数が多いほど退職代行を使うメリットが大きい

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この記事は2026年7月時点の情報をもとに作成しています。