「退職したいけど、辞めた後の生活が不安」「失業保険っていくらもらえるの?」「すぐ転職しなくても大丈夫?」
退職をためらう理由の多くは辞めた後の収入への不安です。しかし失業保険(雇用保険)の仕組みを理解すると、思っていたより安心して退職できることがわかります。
失業保険(雇用保険)とは
失業保険(正式名称:雇用保険の基本手当)とは、雇用保険に加入していた労働者が退職後に受け取れる給付金です。
次の仕事が決まるまでの生活を支えるための制度で、ハローワーク(公共職業安定所)を通じて申請します。
失業保険をもらえる基本条件
| 条件 | 内容 |
|---|---|
| 雇用保険への加入 | 退職前2年間に12ヶ月以上の被保険者期間(※特定受給資格者は1年間に6ヶ月以上) |
| 就職の意思・能力がある | 働く意思があり、すぐ就職できる状態であること |
| 積極的な求職活動 | ハローワークに登録し、求職活動を行うこと |
パートタイムでも週20時間以上・31日以上の雇用見込みがあれば雇用保険に加入しており、条件を満たせば受給できます。
薬剤師が受け取れる失業保険の金額
基本手当日額の計算
失業保険の1日あたりの金額(基本手当日額)は、離職前6ヶ月の賃金をもとに計算されます。
基本手当日額 = 賃金日額 × 給付率(45〜80%)
賃金日額 = 離職前6ヶ月の賃金合計 ÷ 180
給付率は賃金日額が低いほど高く(最大80%)、高いほど低く(最低45%)なります。
薬剤師の場合の目安
| 月収(退職前) | 賃金日額(目安) | 基本手当日額(目安) |
|---|---|---|
| 30万円 | 約6,000円 | 約3,900〜4,800円 |
| 40万円 | 約8,000円 | 約4,800〜5,600円 |
| 50万円 | 約10,000円 | 約5,500〜6,500円 |
| 60万円 | 約12,000円 | 約6,300〜7,200円 |
※2026年度の上限額あり。賞与は計算に含みません。
月収40万円の薬剤師が90日間受給した場合、約43〜50万円程度の給付を受け取れる計算になります。
給付期間:自己都合・会社都合・特定理由で大きく変わる
①自己都合退職(一般的な転職)
通常の自己都合退職の場合:
- 7日間の待機期間(申請後すぐには給付されない)
- 2〜3ヶ月の給付制限(2024年10月以降、自己都合退職の給付制限は原則2ヶ月に短縮)
- 給付制限後に給付開始
| 勤続年数 | 給付日数 |
|---|---|
| 1年未満 | 90日 |
| 1〜5年未満 | 90日 |
| 5〜10年未満 | 120日 |
| 10〜20年未満 | 150日 |
| 20年以上 | 150日 |
②特定受給資格者(会社都合退職)
リストラ・倒産・ハラスメントによる退職など、会社都合に近い理由の場合:
- 7日間の待機期間のみ(給付制限なし)
- 給付日数が自己都合より多い
| 勤続年数 | 給付日数(45歳未満の場合) |
|---|---|
| 1年未満 | 90日 |
| 1〜5年未満 | 120日 |
| 5〜10年未満 | 180日 |
| 10〜20年未満 | 210日 |
| 20年以上 | 240日 |
③特定理由離職者(体調不良・ハラスメント等)
これが薬剤師に特に重要です。
以下の理由による退職は「特定理由離職者」として、給付制限なし(7日の待機のみ)で給付を受けられます。
- 医師からの診断書による就労困難(うつ・適応障害など)
- パワハラ・セクハラ等のハラスメント
- 賃金未払い・大幅な労働条件変更
- 長時間残業(月45時間超が3ヶ月以上など)
失業保険の手続きの流れ
ステップ①:離職票を受け取る(退職後)
退職後、会社から離職票(ハローワーク提出用)が郵送されます。通常2週間以内に届きます。届かない場合は会社に連絡してください。
退職代行を使った場合も、会社は離職票を発行する義務があります。
ステップ②:ハローワークに求職申し込み・受給資格の決定
離職票を持って管轄のハローワーク(住所地)に行き、求職申し込みと受給資格の申請を行います。
持参するもの:
- 離職票(1・2)
- マイナンバーカードまたは通知カード+本人確認書類
- 写真(縦3cm×横2.5cm)2枚
- 本人名義の普通預金口座の通帳
ステップ③:7日間の待機期間
申請後7日間は「待機期間」で給付されません。この間は就職活動をしてはいけないわけではありませんが、就職してしまうと受給資格が終わります。
ステップ④:(自己都合の場合)給付制限期間
自己都合退職の場合、待機期間終了後さらに2ヶ月間の給付制限があります。この期間も積極的に求職活動を行いましょう。
ステップ⑤:認定日ごとに給付
4週間ごとにハローワークで「失業認定」を受け、給付金が口座に振り込まれます。認定日には求職活動の実績(応募・面接・説明会参加など)を報告します。
転職活動との両立
失業保険を受け取りながら転職活動できる
失業保険の受給中は積極的に転職活動をすることが前提です。求職活動実績(原則として4週間に2回以上)が認定の条件になります。
転職エージェントへの登録は求職活動実績になる
転職エージェントへの登録・相談は求職活動の実績として認められます。ハローワークでの活動と並行してエージェントを活用することで、より良い条件の職場を見つけやすくなります。
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内定が決まったら早期就職給付金がもらえる場合も
給付残日数が3分の1以上残った状態で就職が決まった場合、**再就職手当(給付残額の60〜70%)**が一括でもらえます。早期に転職が決まるほどお得な制度です。
| 就職時の給付残日数 | 再就職手当の支給率 |
|---|---|
| 3分の2以上残っている | 70% |
| 3分の1以上残っている | 60% |
よくある質問
Q. 退職代行を使って辞めた場合、失業保険はもらえますか? A. もらえます。退職代行を使ったことは失業保険の受給資格に影響しません。離職票は会社が発行する義務があり、退職代行経由でも同様に発行されます。
Q. パワハラで辞めた場合、自己都合扱いになりますか? A. ハローワークに事情を説明し「特定受給資格者」または「特定理由離職者」として認定してもらうことで、給付制限なしで受給できます。パワハラの事実が確認できる証拠(録音・記録)があれば認定されやすくなります。
Q. うつ・適応障害で退職しました。失業保険はもらえますか? A. 医師の診断書を提出することで「特定理由離職者」として認定され、給付制限なしで受給できる可能性があります。ただし、就労困難な状態が続く場合は「傷病手当金」の活用も検討してください(傷病手当金と失業保険は同時受給不可)。
Q. 有給消化中に転職活動してもいいですか? A. 可能です。有給消化中は在職中のため失業保険の申請はできませんが、転職エージェントへの登録・面接は問題なく行えます。
Q. 失業保険の受給中にアルバイトをしてもいいですか? A. 週20時間未満・31日未満の範囲であれば認められる場合があります。ただし収入額によって減額されることがあるため、必ずハローワークに事前申告してください。
Q. 転職先が決まる前に失業保険が切れそうです A. 受給期間(1年間)内であれば延長申請が可能な場合があります。また薬剤師は求人が豊富なため、転職エージェントに「早めに内定をもらいたい」と伝えることで再就職手当(残日数×60〜70%)も活用できます。
まとめ
- 退職後は雇用保険の**基本手当(失業保険)**で生活を支えられる
- 月収40万円の薬剤師なら90日間で約43〜50万円が目安
- パワハラ・体調不良退職は特定理由離職者として給付制限なしに
- 退職代行を使って辞めても失業保険は問題なく受給できる
- 転職エージェントへの登録は求職活動実績としてカウントされる
- 内定が早く決まるほど**再就職手当(給付残額の60〜70%)**がもらえる
退職後の生活不安があるなら、まず失業保険の仕組みを理解してから判断してください。辞めた後の収入は、思っているより確保できます。
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この記事は2026年7月時点の情報をもとに作成しています。