「体調不良で休職したいけど、収入がなくなるのが不安」「うつで働けないが、生活費はどうすればいい?」「退職してもお金はもらえるの?」
体調を崩して休職・退職を考えるとき、多くの薬剤師が真っ先に心配するのが収入面です。傷病手当金の仕組みを知っておくことで、経済的な不安を減らしながら療養に専念できます。
傷病手当金とは
傷病手当金とは、健康保険に加入している人が病気やケガで働けなくなったときに、生活を保障するために支給される給付金です。健康保険組合・協会けんぽから支給されます。
うつ病・適応障害などの精神疾患も対象になります。「見た目にはわからない病気」でも、医師の診断があれば申請可能です。
傷病手当金をもらえる4つの条件
以下の条件をすべて満たす必要があります。
| 条件 | 内容 |
|---|---|
| ①業務外の病気・ケガであること | 私傷病が対象(業務中のケガは労災保険の対象) |
| ②仕事に就くことができない状態であること | 医師の診断により就労不能と判断される |
| ③連続する3日間を含み4日以上仕事を休んでいること | 最初の3日間は「待期期間」で支給対象外 |
| ④休業した期間について給与の支払いがないこと | 給与が出ている場合は減額・不支給 |
パート・派遣薬剤師でも、健康保険(協会けんぽ・組合健保)に加入していれば対象になります。国民健康保険は対象外のため注意が必要です。
傷病手当金の金額の計算方法
計算式
1日あたりの支給額 =
支給開始日以前12ヶ月間の標準報酬月額の平均 ÷ 30日 × 2/3
薬剤師の場合の目安
| 月給(標準報酬月額目安) | 1日あたりの支給額目安 | 月額換算 |
|---|---|---|
| 30万円 | 約6,600円 | 約20万円 |
| 35万円 | 約7,700円 | 約23万円 |
| 40万円 | 約8,800円 | 約26万円 |
| 45万円 | 約9,900円 | 約30万円 |
月給35万円の薬剤師であれば、休職中も月20万円台の収入が確保できる計算です。
受給できる期間
傷病手当金は支給開始日から通算して1年6ヶ月受給できます(2022年1月の制度改正により、途中で復職した期間があっても通算でカウントされるようになりました)。
例:うつ病で休職→傷病手当金受給開始
→ 3ヶ月後に一度復職を試みるが再び体調悪化で休職
→ 通算して1年6ヶ月まで受給可能
以前は「支給開始から1年6ヶ月」という暦の上での期間制限でしたが、現在は実際に休んだ期間の通算で計算されるため、途中で復職期間があっても不利になりにくい制度になっています。
傷病手当金の申請方法
申請の流れ
- 医師の診断を受ける(うつ病・適応障害等の診断書が必要)
- 勤務先に休職の意思を伝える
- 傷病手当金支給申請書を入手する(勤務先または協会けんぽ・健保組合から)
- 申請書に必要事項を記入(本人・医師・会社の3者の記入欄がある)
- 健康保険組合・協会けんぽに提出
- 審査後、指定口座に振り込み
申請は原則として1〜2ヶ月ごとに継続申請する必要があります(まとめて1年6ヶ月分を一度に申請することはできません)。
必要書類
- 傷病手当金支給申請書(本人記入欄・医師記入欄・会社記入欄)
- 健康保険証の写し
- 振込先口座情報
退職後も傷病手当金はもらえる?
条件を満たせば、退職後も継続して傷病手当金を受給できます。
退職後も継続受給できる条件
| 条件 | 内容 |
|---|---|
| 資格喪失時に傷病手当金を受給していた、または受給できる状態だった | 退職日時点で現に受給中、または条件を満たしていること |
| 健康保険の被保険者期間が継続して1年以上ある | 転職などで空白期間がなければ通算可能な場合も |
| 退職日に出勤していない | 退職日当日に出勤すると「就労可能」とみなされ継続受給の資格を失うリスクがある |
退職日に絶対に出勤しないことが重要なポイントです。有給消化中・欠勤中の状態で退職日を迎えるようにしましょう。
退職代行を使う場合の注意点
体調不良で退職代行を使う場合も、退職日に出勤しないという条件を満たせば継続受給が可能です。退職代行に「傷病手当金の継続受給を考えている」と伝えておくと、退職日の調整に配慮してもらえます。
▶ 弁護士法人ガイアに無料相談する 弁護士が直接対応。体調不良による退職・傷病手当金の継続受給を踏まえた退職日の調整も相談できる。
傷病手当金と失業保険の違い・使い分け
| 項目 | 傷病手当金 | 失業保険 |
|---|---|---|
| 対象 | 病気・ケガで働けない人 | 働く意思・能力があり求職中の人 |
| 支給額 | 給与の約2/3 | 給与の約45〜80% |
| 受給期間 | 最大1年6ヶ月 | 90〜240日(条件による) |
| 同時受給 | できない | できない |
| 求職活動の要否 | 不要(むしろ療養に専念すべき) | 必要 |
傷病手当金と失業保険は同時に受け取れません。 体調が回復し「働ける状態」になってから、失業保険の申請に切り替える流れが一般的です。
→ 詳しくは薬剤師が退職したあとの失業保険完全ガイドを参照してください。
傷病手当金を受給しながら回復に専念するための考え方
- 焦って転職活動を始める必要はない(傷病手当金受給中は療養が最優先)
- 体調が回復し「働ける」と感じられるようになってから、転職活動・失業保険の申請に切り替える
- 回復後の転職では、職場環境を重視した求人選びが重要になる
回復後の転職を考える際は、以下も参考にしてください。
よくある質問
Q. うつ病・適応障害でも傷病手当金はもらえますか? A. もらえます。精神疾患であっても、医師の診断により就労不能と判断されれば対象になります。診断書の内容が重要になるため、症状を正確に医師に伝えることが大切です。
Q. パート薬剤師でも傷病手当金は受け取れますか? A. 健康保険(協会けんぽ・組合健保)に加入していれば受け取れます。国民健康保険加入者は対象外のため、自分の加入している保険を確認してください。
Q. 傷病手当金を受給中に転職活動をしてもいいですか? A. 傷病手当金は「働けない状態」が前提のため、積極的な転職活動は望ましくありません。まずは療養に専念し、回復してから転職活動に切り替えましょう。
Q. 退職代行を使って辞めた場合、会社は傷病手当金の手続きに協力してくれますか? A. 会社には協力義務があります。ただし関係が悪化している場合は手続きがスムーズに進まないこともあるため、弁護士法人系の退職代行であれば会社との調整も依頼できます。
Q. 傷病手当金の申請に会社の協力が得られない場合はどうすればいいですか? A. 会社が記入を拒否する場合は、協会けんぽ・健保組合に相談してください。悪質なケースでは弁護士に相談することも検討しましょう。
まとめ
- 傷病手当金は給与の約2/3を最大1年6ヶ月保障する制度
- うつ病・適応障害などの精神疾患も対象になる
- パート薬剤師でも健康保険加入者なら対象
- 退職後も継続受給可能(退職日に出勤しないことが条件)
- 失業保険とは同時受給できない(回復後に切り替える)
体調不良を抱えながら無理に働き続ける必要はありません。傷病手当金の制度を正しく理解し、まずは療養に専念する選択肢を検討してください。
▶ 弁護士法人ガイアに無料相談する 体調不良による退職・傷病手当金の継続受給の相談もLINEでOK。
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この記事は2026年7月時点の情報をもとに作成しています。